山形県置賜地域における公立置賜総合病院を核とした病院再編は、今日の自治体病院再編の先鞭をつけた成功事例として知られています。本研究では、これまでなされてこなかった医療需要サイドからの評価をフィールドワークと量的調査によって明らかにし、病院集約化の事後検証を行いました(日本学術振興会の科学研究費補助金事業「自治体病院再編が地域生活に及ぼす影響に関する社会学的研究」課題番号21830020、研究代表者:伊藤嘉高)。
その結果、若干のアクセスを犠牲にした置賜総合病院への集約化による医療提供は、住民側からも評価されていることが明らかになりました。しかも、アクセスについても再編によって大きな支障は生じていませんでした。さらに、置賜総合病院における高度な専門医療の充実を求めながらも、それ以上に長期療養のための施設の整備を求める声が強い。急性期病院のみでは対応できない慢性疾患に対する不安も高く、置賜総合病院とサテライト病院の機能分化についても住民のニーズにマッチしていました。
以上の結果により、医療需要側である地域住民からみても、置賜総合病院を核とした再編が概ね評価されていることが確認されました。
- 伊藤嘉高, 村上正泰, 佐藤慎哉, 新澤陽英, 嘉山孝正:自治体病院再編に対する住民サイドからの事後検証―置賜総合病院を核とした自治体病院再編を対象にして.
日本医療・病院管理学会誌. 2012; 49 (4): 27-36
「置賜地方の医療と介護に関する調査」報告書(2012年1月)

1. 調査の背景と目的―置賜総合病院開院10周年 5
2. 調査の方法 8
3. 調査結果のサマリーと留意点 10
4. 調査回答者と母集団の属性 16
- 居住地・人口動態 16
- 年齢構成 19
- 世帯構成 19
- 職業構成 20
5. 健康状態と健康評価 21
- 自身の健康評価 21
- 具体的な健康状態 22
- 治療中の疾患 22
- 将来の健康不安 23
6. 実際の受診動向と医療機関に対する評価 25
- 直近の受診時期 25
- 直近の受診医療機関 25
- 受診医療機関に対する評価 26
7. 医療費に対する不満と受診抑制 33
- 医療費に対する不満 33
- 年間医療費(自己負担) 34
- 受診抑制 35
8. 軽症時に受診する医療機関とかかりつけ医に対する姿勢 37
- 軽症時の受診医療機関 37
- 交通アクセスの問題 39
- かかりつけ医に対する認知、評価 40
- 機能分化(紹介外来) 44
9. 救急受診に対する姿勢 46
10. 在宅医療の希望と可能性 49
- 在宅医療の希望 49
- 在宅医療の実現可能性 51
11. 今後の医療提供体制について 53
- 日本の医療全般に対する評価 53
- 置賜の医療全般に対する評価 55
- 置賜総合病院開設の経緯に対する認知 57
- 医療崩壊の認知と受診行動 58
12. 地域生活と健康 62
資料編 65
- 自由回答一覧 65
- 調査票 80
《山形大学蔵王協議会調査事務局》
〒990-9585 山形市飯田西2-2-2
山形大学大学院医学系研究科
医療政策学講座 助教 伊藤嘉高
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