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Since 1974
山形大学医学部薬理学講座
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研究内容とこれまでの主な研究成果
MIDN は2000年に本邦のグループによって、胎生期のマウスの中脳に一過性に発現する遺伝子として発見されましたが(Tsukahara et al., Gene 2010)、その遺伝子産物の機能は長らく不明なままでした。
われわれは内科学第三講座(神経内科)の加藤先生やゲノム情報解析ユニットの佐藤先生のご協力のもと、この遺伝子が新しいパーキンソン病のリスク遺伝子であることを分子疫学的な解析から見出しました。実に孤発性パーキンソン病患者の10.5%にMIDN 遺伝子の欠落が認められ、健康な人では異常がありませんでした(Sci Rep, 2017)。さらに、2000人規模の英国人のコホート研究のデータを解析したところ、やはり6.55%のパーキンソン病患者にMIDN遺伝子の欠損が認められました(Ann Clin Transl Neurol, 2019)。つまり、MIDN は人種の壁を越えて普遍的なパーキンソン病のリスク遺伝子であることがわかりました。また、既知のパーキンソン病の原因遺伝子やリスク遺伝子と比較しても、MIDN の異常は最もリスクが大きい部類に分類されます。
MIDN はNGF、BDNF、インスリンなどの神経栄養因子の刺激で発現が誘導されます。その際、MAPKファミリーのERK1/2やERK5、PI3Kなどの活性に依存し、転写因子のAP-1やTFAP2によってMIDN プロモーターの活性が制御されることがわかりました(Sci Rep, 2017; J Pharmacol Exp Ther, 2022)。
MIDN の発現をゲノム編集・RNA干渉などで抑制すると、神経のモデル細胞であるPC12細胞の分化が完全に抑制されるとともに、Parkin E3ユビキチンリガーゼの発現も抑制されました(Sci Rep, 2017)。Parkinは有名なパーキンソン病の原因遺伝子の一つであり、Parkinの機能が抑制されると、正しい高次構造を保てない不良タンパク質のユビキンチン化・分解が起こらず、その不良タンパク質の蓄積(さらには不良オルガネラの蓄積)が病気の発症の原因と考えられています。


さらに、網羅的な遺伝子発現解析を行った結果、MIDNは非常に多くの遺伝子の発現を制御することがわかりました(Biol Pharm Bull, 2018)。しかし、その分子内にDNA結合配列や転写活性化ドメインなどを有していないため、MIDN自体が転写因子とは考えにくく、その分子実体は不明でした。トランスクリプトーム解析によって、MIDN依存的に誘導される遺伝子が多数見出されましたが、それらの遺伝子のプロモーター領域を解析した結果、転写因子EGR1のコンセンサス配列が共通して存在することがわかりました。つまり、MIDNがEGR1を活性化して、多くの遺伝子の発現を制御している可能性が考えられました。その仮説のもと、実際にMIDNがEGR1と直接的に結合してEGR1の転写活性を促進することを見出しました。そして、神経細胞の分化に必須であるニューロフィラメント軽鎖(Nefl)やCdk5の活性化因子であるp35(Cdk5r1)の遺伝子発現がMIDN/EGR1依存的に促進されていることがわかりました(Mol Cell Biol, 2024)。

現在では米国のグループから、MIDNがユビキチン非依存的にプロテアソームにおけるタンパク質の分解に関与すること(Gu et al., Science 2023)、B細胞リンパ腫などにも関与することなどが報告され(Zhong et al., J Exp Med 2024)、MIDNが多彩な機能を有することが明らかになってきました。われわれのグループでは、Midnノックアウトマウスを用いて、in vivo における解析を行っています。