放射線過小照射事故について

 当院において放射線治療を行った患者様に、予定していた放射線量より少ない線量で放射線治療が行われていたことは、誠に遺憾であり、患者様ならびにご家族の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。また、社会の皆様に不安を与えましたことについて、深くお詫び申し上げます。
 なお、この件に関しましては、公正を期するため、第三者機関(医学放射線物理連絡協議会)に調査を依頼しておりましたが、このたび、平成16年11月19日付けで調査報告をいただきましたので、その概要を報告させていただきます。
 現在では、最新のチェック機能を備えた放射線治療計画装置を導入し、また、全ての患者様毎に線量計算をダブルチェックで実施・確認するなど、再発防止に全力をあげ、信頼回復に努めているところでございます。
 ご報告が遅れましたことをお詫び申し上げます。

    平成16年12月15日
    山形大学医学部附属病院


概 要

 山形大学医学部附属病院において、放射線治療時の過小照射事故の発生が明らかとなった。同病院は医学放射線物理連絡協議会に対し、外部機関として事故調査を実施するよう要請した。協議会は、本件の原因究明と類似事例の再発防止を目的として、平成16年3月8日に調査団を現地へ派遣した。
 事態を重く受け止めた同病院では「山形大学医学部附属病院医療事故等防止対策委員会」が内部調査を行い、「放射線過少照射に係る内部評価報告書」を平成16年1月28日付けで作成している。それによれば、対象となる期間内の新規治療患者1377名のうちの63名に対して過小照射が疑われ、同病院の計算では、処方総線量に対する不足分の割合は、0.6〜26.1%、平均で8.2%であるとされた。また転帰に関しては生存29名、死亡28名、不明6名であった。
 現地調査の結果、本件の直接的原因は平成11年の放射線治療計画装置の導入時に発生した出力係数の入力エラーであることが確認された。すなわち4MVのX線に対し、15cm×15cmの出力係数として本来1.032と登録すべきところを、1.320という値が誤入力されていたこと、そして機器導入から本件の発覚に至るまでこのエラーが見過ごされ続けてきたことが、今回の過小照射事故を引き起した。
 調査団は、独自に線量評価を行った結果、処方総線量の95%に達しない過小照射が36名の患者に対し認められると判定した(うち、5名は臨床的除外例と判定)。また同病院による内部調査に関しては、投与線量の算出に僅少な修正を要するものの概ね妥当であることを確認した。
 そもそも放射線治療では、処方線量に対して±5%の範囲内で線量が投与されるべきで、現場においては統合的な品質管理(QC)、品質保証(QA)の徹底が求められる。
 今回の事例では、病院は治療計画装置導入時のコミッショニング(ビームデータ取得と計画装置への入力、登録データ確認までの一連の過程)の一切を業者任せにしており、その後の確認を怠っていたに等しいことが明らかになった。
 装置導入時の受け入れ試験およびコミッショニングに際しては、ユーザー側に責任者を置くべきで、予めユーザーと納入業者の間で作業内容、役割分担あるいは責任体制などについて明確にしておく必要がある。また包括的なQAプログラムを制定して、日常的な品質管理が行われる必要がある。
 類似事例の再発防止のため関係者の注意を喚起したい。