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040207:炭鉱の中のカナリア

 英語に「炭鉱の中のカナリア」(like a canary in a coal mine)という表現がある。これはまだ起きていない危険や、目では感知できない危険を知らせる人、または状況を意味している。昔、イギリスとアメリカの炭鉱員が地下に降りるとき、行列の先頭がカナリアのカゴを持って炭鉱に入った。カナリアの歌声が止まったり、力を失って死ぬなら、炭鉱内にメタンガスのような有害ガスが多いと判断し、炭鉱員をいち早く危険地域から逃げさせる役割を持たせた。人間に感知できない無色無臭の有毒物質と小さな生命体が敏感に反応し、危険を知らせてくれるのだ。
 最近、化学物質によってめまいや頭痛などの症状を引き起こす「化学物質過敏症」で苦しむ人が多い。彼らは平凡な日常生活が困難である。食べ物も有機野菜しか食べられない。学校の建材などが原因の「シックスクール症候群」で児童が登校できなくなった東京のある小学校から検出された化学物質は、基準値の七倍を超えたそうだ。児童は新築校舎に入れず、運動場で一人勉強しなければならないほどだった。
 それは韓国でも同じだ。富裕層に人気のあるマンションから基準値より高い濃度の化学物質が検出され、入居後、皮膚疾患がひどくなり、空気の良い田舎に引っ越しすることがしばしばである。なぜなのか。外見が美しい家を安値で早く建てようとすると、壁面や床などに、高価で施工が複雑な天然素材より、便利な人工素材を使うからだ。新しいビルや家は最新のデザインで外見は美しくスマートに見えるが、敏感な人には有毒ガスで満ちた炭鉱のようだ。
 都市の発達で、澄んだ空気と太陽の光はますます不足する。人間は便利な生活のために、危険な道を進んでいる。環境汚染による病気の人たちの苦しみは『他山の石』ではない。炭鉱の危険信号として死んだカナリアの姿を教訓に、目の前の利益のために生き急ぐ愚かさを捨て、自然と親和的な住宅環境の構築を急がねばと思う。カナリアの死を見て、炭鉱員たちが逃げ出すように。