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人体に取り込まれる仕組みと体内代謝

1. 侵入経路
 ダイオキシンは私たちの身体の中にどうやって入ってくるのでしょうか。ダイオキシンが人体 内に入る経路はいくつかあります。
 1. ダイオキシンが食品に含まれていて食事とともに摂取され る。
 2. 飲み水から入る。
 3. 大気中のダイオキシンが呼吸を通じて入ってくる。
 4. 土いじり等により、皮 膚を通じて入ってくる。
 そういういくつかの経路があります。そのなかでは圧倒的に食品を通じ て摂取する割合が高いとされています。98%以上が食事を通じて摂取されており、残りの2%が大気と水と土壌からと推定されております。

2. どんな食べ物に含まれているか
 日本人の一般的な生活環境で取り込まれるダイオキシンの量は、1日に体重1kg当たり0.52〜3.53pgと推定されています。体重50Kgの人なら約26〜177pgを体内に取り込んでいることになります。数値にこれだけの幅があるのは、毎日食べている食品中に含まれる濃度に差があるからです。ダイオキシンは脂肪に溶けやすいので、脂肪分の多い魚、肉、乳製品、卵などに含まれやすくなっています。食生活の違いから、わが国では魚から、欧米では肉などからの取り込み量が多くなっていますが、いずれの国でも、体への取り込み量の7〜9割程度は魚、肉、乳製品、卵に由来しているようです。野菜については、根から水を吸い上げることによってダイオキシンを濃縮することはあまり考えられないとされており、魚、肉などに比べれば、野菜から取り込まれるダイオキシンの比率は低いものと考えられます。

 食品中の平均的なダイオキシン類の濃度と摂取量

         食品     食品摂取量    濃度      ダイオキシン類摂取量ハ
         g/日     pg-TEQ/g    pg-TEQ/日    pg-TEQ/kg/日
魚介類         88     1.19    105        2.1
牛乳等       115     0.16    18       0.36
肉、卵       124     0.15    18       0.36
米         209     0.05    11       0.22
野菜類、果物等   632     0.02    15.4     0.31
砂糖、菓子      38      0.08     3       0.06
油脂類        17     0.18     3       0.06
調理品          9      0.08    0.7    0.01
調味料       136     0.04    0.6     0.01
 合計      1368     −     175±120   3.5 ±2.4
(高山元摂南大学薬学部助手らによる)

3. 魚に含まれるダイオキシンは非常に高い
 日本では外国より魚を多く食べるため、魚から外国の約3倍のダイオキシンを摂取するという 見方があります。魚のダイオキシン濃度は、それぞれの魚が生息していた環境のダイオキシン濃 度及び餌に含まれるダイオキシン濃度に影響されますが、おおざっぱに見て、天然魚より養殖魚 が、遠洋魚よりは沿岸、近海魚がダイオキシン濃度は高いと考えられます。
 市販魚のダイオキシン類濃度TEQ(pg/g) (高山幸司ら:衛生化学37, 125-131, 1991)  
 天然マダイ       0.26
 養殖マダイ      0.42
 天然ハマチ      0.37
 養殖ハマチ      0.86
 ウナギ        0.10
 マイワシ       0.47
 キハダマグロ     0.01
 イサキ        0.20
  平均値(中央値)   0.34

日本近海魚と輸入魚の濃度TEQ(pg/g)(松田宗明:環境科学会、1996)
 近海魚  
 サバA         0.10
 サバB         0.54
 サバC         2.10
 ハマチA        0.16
 ハマチB        1.20
 ハマチC        1.10
 マイカ(生、沿岸)   0.12
 白魚(愛媛)      0.22
 マイワシ(沿岸)    1.95
 平均値(中央値)    0.89

 外国産  
 アカスエビ(中国)   0.17
 エビ(小)       0.00
 ブラックタイガー    0.01
 イカ(冷凍、南太平洋) 0.00
 シシャモ(北欧産)   0.31
 キス(オーストラリア) 0.00
 平均値(中央値)    0.08

 都市地域での一般的な生活環境での取り込み量は最大でおよそ3.5pg/Kg体重/日程度です が、魚をふつうの2倍程度食べる場合や、ゴミ焼却施設周辺で最も悪い条件を想定した場合、最大5.28pg/Kg体重/日と推定され、健康リスク評価指針値の5pg/Kg体重/日を超える可能性が あることがわかりました。

4. ダイオキシンの体内代謝
 2,3,7,8体のダイオキシンは、ほかの異性体と異なり体内の代謝機構によって分解されにく く、しかも脂肪に溶けやすい性質があります。そのためダイオキシンはひとたび体に入ると、その大部分が脂肪に蓄積されて体内にとどまります。ごくわずかな量が、分解されたりして体の外に排出されますが、その速度は非常に遅く、人間の場合は半分の量になるのに約7年かかるとさ れています。このため、容易には体外へ排出されず、脂肪組織や脂肪質の多い肝臓などの臓器に とどまり、しだいに濃縮されながら蓄積されていきます。
 人間における最大の排出方法は母乳であり「赤ちゃんが危ない」といわれる理由がここにありま す。女性の母乳に限らず、男性も含めて、今や私たち日本人の脂肪組織中にはダイオキシンが高 濃度に蓄積されています。