砂漠化
今、地球の陸地のおよそ4分の1（約36億ヘクタール）が砂漠化の影響を受けています。これはアフリカ大陸全体に相当する広さで、日本の陸地面積の80倍にもなります。さらに毎年およそ600万ヘクタールの土地が新たに砂漠化していますが、これは九州と四国をあわせた面積に相当します。
目次
1. 砂漠化とは
2. 砂漠化は人間が起こしている
3. 先進国の暮らしと砂漠化の関係
4. 他の地球規模の問題との関係
1. 砂漠化とは
砂漠化とは水の少ない地方で土地が荒らされて、植物や動物が育たなくなってしまうことです。もともと荒れやすい乾燥した土地に人間が無理に手を加えることにより、砂漠化が進行します。砂漠化した土地では食糧が不足するため、多くの人々が餓死したり、難民になるなど、深刻な影響が出ています。
いったん砂漠化してしまった土地は、そう簡単には元に戻りません。砂漠化の影響で苦しんでいる人々は、世界で10億人近くにもなります。つまり、世界の5〜6人に一人が砂漠化に苦しんでいることになります。 砂漠化が特に激しいのは、アフリカ、アジア、中南米ですが、それ以外にも、ヨーロッパ南部や北米、オーストラリアでも影響は出始めています。
2. 砂漠化は人間が起こしている
ＵＮＥＰの報告によれば、砂漠化の原因の9割は人間によるもので、残りが異常気象など自然によるものです。私たち人間はどのようにして砂漠化を引き起こしているのでしょう。
1）過放牧
家畜の放牧が限度を超えると植物が食べつくされ、地面が踏み固められるなどして、土地が荒れ、砂漠化してしまいます。乾燥地だけでなくアマゾンのジャングルを切り開いて作った放牧地でも、同じことが起きています。肉や乳製品を手に入れるための過剰な家畜の放牧は自然のバランスを崩し、不毛の大地を増やしてしまうのです。
2）過耕作（農地の使いすぎ）
ひとつの土地で連続して同じ作物を作り続けると養分（地力）が減り、最後にはほとんど収穫できなくなります。一定期間ごとに土地を休ませ、地力を回復させることが必要なのですが、商業を優先させた農業ではそれが行われていません。
3）塩害
塩分の多い地下水をくみ上げて作物を栽培すると、土地の表面に多くの塩分が残りま す。また、地下の塩分が水に溶けて地表に出てくる場合もあります。どちらの場合も作物を栽培できなくなってしまいます。
4）森林伐採
木材を売るためや薪や炭にするために木を切り過ぎると、森林は元の姿に戻れなくなるばかりか、荒れ果てて砂漠化してしまうことがあります。木を切り過ぎると背の低い植物や地表の豊かな土を風雨や乾燥から守るものがなくなり、こうしたことが起きるのです。特に熱帯林は、もともと養分が樹木に吸われて土がやせているため、砂漠化しやすくなっています。
3. 先進国の暮らしと砂漠化の関係
砂漠化は主に貧しい人々の多い開発途上国で起きています。先進国は砂漠化には関係がないのでしょうか？ いいえ、それどころか先進国は砂漠化に関して大きな責任があります。先進国が経済的な強さを利用して、安い牛肉や安い木材などを開発途上国から買いつけることで、それらの国々の土地を荒らす結果となっているのです。
先進国の多くの一般人は、「世の中、豊かになったなあ」と感じながら、その犠牲になっている人々のことは実感がわかないまま、無視してきたのです。熱帯の森林を切り開いて牛を放牧し、ハンバーガー1個につき4〜5円安くすることができたと言われています。しかしそのために伐採した森林の面積は、ハンバーガー1個につき5平方メートルで、そのことによる実際の損失は、数万円分に相当します（ワールドウォッチ研究所）。私たちが安価なハンバーガーを食べることで、そのつけが途上国に大きなダメージを与えているのです。
4. 他の地球規模の問題との関係
1）貧困問題
貧困は砂漠化のもっとも大きな原因といえます。貧しい人々は飢えに苦しみ、無理な方法で食糧を生産しなければ生き延びることができない状態です。そして、砂漠化が貧困をさらに加速するという、悪循環もおきています。砂漠化のため農村を見捨て都市に流れ込む人々は、ひどい環境のスラムでの生活を強いられています。
2）地球温暖化
地球温暖化も、砂漠化の原因になっていると考えられます。温暖化が進めば、地面からの水分の蒸発が激しくなります。また、海からの水分蒸発量が増えると、台風やハリケーンが大規模化して、植物に被害を及ぼしたり、土壌を押し流すと考えられています。そして、逆に砂漠化が温暖化の原因になり、悪循環が起きることも十分にありえるのです。
3）人口問題
地球上の人口は、人口爆発と言われるほど急激に増え続けています。にもかかわらず砂漠化によって食糧を増産できなくなると、今よりさらに多くの人々が飢えによって倒れていくという、最悪の事態が起きる可能性があります。