010104:北日本の雪はほとんどが「酸性雪」北日本に降る雪は、太平洋側の一部を除くほとんどの地域で「酸性雪」となっていることが、このほどの調査で判明した。 酸性雪を観測した調査地点は全観測地点の90%以上。酸性度は太平洋側より日本海側で強く、大陸からの汚染物質の関連が疑われている。雪の中にたまった酸性度の強い汚染物質が一挙に解け出すと、生態系に悪影響を与える恐れがある。 酸性雪は酸性雨に比べ、解けるまでの間同じ場所にとどまるため、酸性物質が蓄積しやすい。樹木にも付着しやすく、環境影響は酸性雨より大きいとされているが、国内では広域的な調査がほとんど行なわれていなかった。 今回の調査は、北海道環境科学研究センターなど北海道、東北六県と新潟県の8道県の自治体から13研究機関が参加。1996年1〜3月の間に61カ所で空から降ってくる雪を採取して、酸性度や含まれる成分を分析した。 その結果、調査地点の93%(57カ所)、すべての道県で、pH5.6以下の酸性雪が観測された。最も酸性度が高かったのは新潟県の雪で、pHは4.6(全体の平均は4.86)だった。 酸性度の高い雪は、北海道の積丹半島周辺や、秋田県東部の山間地、新潟県の南部などで目立ち、太平洋側では少なかったとのこと。 石炭の燃焼などによって放出され、酸性雨の原因になる硫酸イオンの濃度もpHと同じような傾向にあることから、冬の季節風によって大陸から運ばれてきた汚染物質が雪の酸性化に大きく影響したと考えられる。 春先の雪解け時期には、酸性度の強い水が流出すると考えられるが、新しい生命をはぐくもうとしている植物は、そんな危険が待ち受けているとは想像もしていないだろう・・・ *大気中の二酸化炭素が溶け込むため、雨や雪のpHは普通でも5.6程度と、弱い酸性になっている。自動車や工場などから出る硫黄酸化物や窒素酸化物によって酸性度がさらに強まりpHが5.6以下になった雨を酸性雨、雪を酸性雪という。 |
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