社会環境予防医学部門  
 

 

 高齢化社会における労働力の減少と社会的コストの増大は,国家財政に関わる不可避の重要問題であり,生命環境医科学専攻では,これらの社会問題に対して医学的及び医療財政的視点からその対策を企画立案し,特に山形という地域特性に十分配慮した上で実践していくことを目的として以下の研究を行う。


@ 地域予防疫学及び医療経済・財政研究
 地域における疫学調査研究により,脳心血管疾患などの生活習慣病の一次予防のための知見を収集・整理し,これを地域における高齢者の健康維持増進のためにフィードバックし,保健所などの行政機関を通じて早期に活用できる社会システムを構築する。


A 健康増進プログラム研究
 「健やかに老いる」長寿社会を実現するためには,障害の回復のみならず,高齢者の健康を維持増進のための日常生活におけるサポートが不可欠である。そのため,健康増進のためのプログラムの立案・推進に関わる実務的リーダーを養成し,地域社会活動のコーディネーションに向けた研究と教育を実施する。


 
   
臨床的機能再生部門  
 

 

 脳血管障害の早期発見・診断・治療システムの研究・開発を促進し,高齢者患者の神経高次機能の障害を最小限に食い止め,罹患後の生活の質を向上させる。
 高齢者が疾病を乗り越えたのち,また加齢により失われた運動機能の再生を目的としたリハビリテーションシステムの構築と実践により,高齢者全体に関わる生活の質の向上を図り,生きがいに満ちた人間らしい生涯を送るために「健やかに老いる」長寿社会の実現に寄与する。
 また,ロボテック医工学技術の応用及び人工関節やリハビリテーション機器の開発など研究の成果を企業化し,雇用機会創成にも貢献する。これらの目的を達成するために以下の研究を行う。


@ 高次神経機能再生に関する研究
 運動機能や感覚だけに留まらず言語機能をはじめとした高次神経機能の回復及びその評価システムの開発を対象とする。これらの高次神経機能解明と治療法の確立は,本プログラムの重要な研究課題であり,生活の質の向上に直結したテーマである。


A 運動機能再生に関する研究
 これまでの画一的なリハビリテーションを改善し,障害の原因を考慮し,患者一人一人のニーズに対応した効果的なリハビリテーションシステムを構築し,その実践者を養成する。また,ロボテック医工学技術の応用及び人工関節の開発やリハビリテーション介助機器の開発を行い,経済・産業の活性化及び新規関連事業の創出を図る。


 
   
分子疫学部門  
 

 

 ポストゲノム時代への移行期にあたる現在における最重要課題の一つが,遺伝子の塩基配列の個人差(遺伝子多型)の解析とその病態生理学的意義の解明であり,この「遺伝子多型の研究」を通じて,オーダーメード医療(個々人の体質に合わせたきめ細かな医療)やゲノム創薬(より有効性が高く安全な医薬品の開発)を可能としていく。特に,「遺伝子多型の研究」では,「地域社会を包含した研究フィールド」が不可欠である。目的達成のため次の研究を行う。


@ 生活習慣病の研究
 分子疫学部門では,これまで蓄積してきたDNA検体の一塩基多型 (SNPs)と詳細かつ精度の高い臨床データを解析し,生活習慣病(糖尿病・高血圧・高脂血症・脳血管障害・虚血性心疾患など)の遺伝的素因を解明することにより,オーダーメード医療及びゲノム創薬の基礎を確立する。


A 疾病の成因に関わる細胞レベルの研究
 酸化ストレスからの防御システムとして活性酸素を無毒化する抗酸化酵素並びに酸化的障害を受けた細胞の機能修復の一端を担う酸化還元酵素系が存在し,これらの防御システムの異常が細胞障害発生メカニズムと大きく関わっている。分子疫学部門では,生活習慣病の一塩基多型解析に加えて,疾病の成因に関わる細胞レベルの研究を行う。特に糖尿病に関しては,成因に関わる血糖値の恒常性維持のメカニズムを中心として,細胞レベルから臓器レベルに至る制御機構について,ホルモン系のみならず特に神経制御系に及ぼす効果について研究する。また,光生体計測技術を用いて,細胞及び個体レベルにおいて生体組織が営む多彩な機能を評価する。