山形大学医学部教務委員会の紹介
木村 理 『医学教育』第37号 第5号改変
「特集/卒前医学教育責任者委員会の紹介」
山形大学医学部は,医学教育の向上,そしてそのための教育改革をもっとも重要なテーマの一つとして位置づけてきた.山形大学医学部教務委員会はその具現化の大きな役割をになう委員会であり,わが医学部の中心的な存在である.
1. 委員会の名称:山形大学医学部教務委員会
2. 構成員
平成19年4月から新しくなった.新構成員を以下に記す.
委 員 長 : 木村 理教授(消化器・一般外科学,兼任)
副委員長 : 石井 邦明教授(循環薬理学,兼任)
副委員長 : 北中 千史教授(腫瘍分子医科学,兼任)
委 員 : 深尾 彰教授(公衆衛生学,兼任)
委 員 : 浅尾 裕信教授(免疫学,兼任)
委 員 : 加藤 丈夫教授(生命情報内科学,兼任)
委 員 : 貞弘 光章教授(循環器・呼吸器・小児外科学,兼任)
委 員 : 富田 善彦教授(腎泌尿器外科学,兼任)
委 員 : 川前 金幸教授(急性期生体機能統御学,兼任)
委 員 : 鈴木 匡子教授(高次神経機能学,兼任)
委 員 : 小林 淳子教授(地域看護学,兼任)
委 員 : 佐藤 幸子教授(臨床看護学,兼任)
委 員 : 佐藤 和佳子教授(臨床看護学,兼任)
3. 沿革
山形大学医学部は1973年9月29日に定員100名で開設され、第1回生を迎えた.「自ら考える医師ならびに医学研究者を養成する」とした教育基本方針を反映させたカリキュラムを作成するため,教務委員会は1年生の教養教育から6年生の卒業試験・国家試験対策までの教育課程を多岐にわたり検討した。特に臨床実習のカリキュラム、総合講義、研究室研修について議論を重ねて検討し、今日の基礎を築いた.
しかし2003年度から、医学教育モデルコアカリキュラムを導入し大幅なカリキュラム改正を行い,2005年度からは共用試験(CBT・OSCE)を実施、2006年度から臨床実習を診療参加型にして医師国家試験並びに卒後臨床研修に対応する内容に改革している。
4. 業務内容
教務委員会審議事項
1. 教育課程の編成に基準に関すること。
2. 授業時間割の編成に関すること。
3. 年間教育行事計画の設定に関すること。
4. 学習の評価基準の設定に関すること。
5. 入学試験に関すること。(入試委員会の所掌に係るものを除く)
6. その他学生に関する重要事項(厚生委員会の所掌に係るものを除く)
7. その他必要なこと。
教務委員会所掌業務事項
1.履修規程に関すること
2.教育課程(カリキュラム)に関すること
1年次 教養教育、医学基礎教育科目
2年次 基礎系分野による専門科目
3年次 臓器疾患学コース毎、研究室研修
4年次 全身性疾患学、総合医学演習、診療技能学、地域医療学(実習)
5年次 見学型臨床実習、
6年次 参加型臨床実習
3.授業時間割に関すること。
4.研究室研修に関すること。
5.卒業試験に関すること
6.特別講義及び総合試験に関すること。
7.臨床実習(4・5・6年)に関すること
8.共用試験(CBT・OSCE)に関すること
9.医学教育ワークショップに関すること。
10.学生の修学指導に関すること。
11.学生の異動(休学、退学、復学)に関すること。
12.学生便覧、実習の手引き、シラバス等の作成
13.非正規生(研究生)に関すること
14.非常勤講師に関すること。
15.移行、進級、卒業判定に関すること
5. 現在の活動と将来
嘉山孝正医学部長が教務委員長だった2001年ころから,医学教育の分野においてはさまざまな改革がなされてきた.2年次,5年時における野外セミナーの改革と学生の意識改革,PBLテュートリアルの導入,コア・カリキュラムの実施,共用試験,つまりCBT(コンピュータに基づく客観試験)およびOSCE(客観的臨床能力試験)の準備と対応などなど枚挙にいとまがない.
2005年12月には医学部4年生のCBTおよびOSCEが全国のトップをきって正式に実施された.教員たちの熱心な指導により,CBTの結果は全員合格で,その平均正答率および正答率分布曲線は全国のそれらを約10点も上回るものであった.
2006年1月からは,4年生でベッドサイドラーニングが,また5年生でクリニカル クラークシップ(診療参加型臨床実習)が開始されたが,これらの臨床実習は全国のどの大学よりも早い学年(時期)に実施されたものである.2006年12月にはクリニカル クラークシップに必要な臨床実技の知識・能力を確認するためにアドヴァンストOSCEを実施する予定.
6年生には各科の卒業試験だけでなく,総合試験をおこなってそれをクリアーしないと卒業できないシステムを作り上げている.すでにそれによって不合格と判定され卒業が見送られたものも毎年数人以上存在する.このような厳しい教育指導のもとで,最近の医師国家試験合格率は向上し,全国国立大学法人42校中2005年9位,2006年2位,2007年3位となっている.全国80大学医学部ではそれぞれ17位,7位,6位となっている.
山形大学医学部の入学試験では少子化による学生の減少にもかかわらず,受験数は増加し,全国展開する大手予備校の調査でも合格最低ラインの偏差値が72とかなり高くなっている.その大きな理由の一つに上述したわれわれの教育姿勢が評価されたことも挙げられよう.
なお1年生の9月には山形,上山,天童各市の消防本部の協力を得て,「早期医学・医療体験学習」として医学部学生が救急車に乗って早期に救急医学を体験できるカリキュラムも実施されている.「医療の道」を歩み始めたことを医学部入学早期に強く意識することの意義は大きいと考えている.
1年から6年の各クラスにはそれぞれアドヴァイザーがおり,教育や生活の相談などさまざまな面から学生を支えている.
6. 今後の方針
今後さらに医学英語の充実による臨床医学論文の読解力や理解力の向上,さならるカリキュラム改革による多様で変化する医学の実践的知識の習得などをめざし,ますます改革の手を緩めずにやっていく方針である.

