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用語集

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・AD/HD(えーでぃーえいちでぃー)
 Attention Deficit/Hyperactivity Disorder(注意欠陥/多動性障害)の頭文字をとってAD/HDという。年齢または発達に不釣り合いな注意力、衝動性および多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学習に支障をきたす疾患である。7歳以前に症状が現れ、その状態が持続する。多動は11歳頃に、衝動性は13歳頃に軽減していくが、不注意は成人まで持ち越すことが多い。平成14年の文部科学省の調査では、AD/HDは通常学級の児童の2.5%に認められた。
 ドーパミンやノルアドレナリンの放出を促進する薬剤(中枢神経刺激剤 methylphenidate)は、AD/HDの症状を一時的に改善する。また動物実験にて、若いうちにドーパミンの神経回路を選択的に破壊すると、成熟するにつれてかなり多動になる。前述の刺激剤でその多動がおさまることが確かめられている。ドーパミンやノルアドレナリンの放出量が低下していることが考えられる。また双子研究によると、病因の約80%は遺伝によるとされるが、環境的にも虐待やいじめ、失敗体験の繰り返しで、症状はより悪化する。自尊心が低下し、その結果、二次障害としては、反抗挑戦性障害、アルコール・薬物の乱用や非行に発展するものもいる。気分障害、不安障害を合併するものもいる。混乱が続くことで、成人になる頃には反社会性ないし境界性パーソナリティ障害に発展するものもいる。
 治療で重要なことは、自尊心を培うことである。学習障害を合併するものが多いため、学習の支援が必要である。場合によっては、SST(Social Skill Training 社会技能訓練)やペアレント・トレーニング(Parent Training 親業訓練)が必要になる。中枢神経刺激薬を中心とする薬物療法は、70〜80%の症例に有効である。

・うつ病(うつびょう)
 うつ病は、躁うつ病とともに気分障害(感情障害)を構成している。うつ病の症状は4群に大別することができる。エネルギー低下症状(抑うつ気分、興味・喜びの著しい減退、易疲労性、気力の減退、思考力や集中力の減退)、身体症状(体重減少ないし増加、食欲の減退ないし増加、不眠ないし睡眠過多)、精神運動症状(精神運動性の焦燥ないし制止)、うつ病的思考(無価値感、不適切な罪責感、死についての反復的思考、自殺念慮、自殺企図)である。低下症状は、非特異的な症状で、統合失調症の陰性症状とも共通している。罪責感や自殺念慮も、基本障害に対する反応ないし二次的症状の場合が多い。うつ病症状全体の背景にあるものは、精神運動症状である。それは、表面的にはエネルギーの低下に見えるが、実際はエネルギーがあっても発現が制限されている緊張状態である。内因性のうつ病にみられるのは、早朝覚醒や食欲不振などの興奮性の症状である。近年は、不安・焦燥感の強いうつ病が増えており、むしろ制止症状を示す症例は相対的に少なくなっている。不安耐性が高く、社会的規範・役割への同一化が強いと、制止症状を形成する傾向がある。若年者や未熟な人格の者、脳器質的要因の加わる初老期では、その不安定性のために制止症状に至らず、不安・焦燥感が強まると考えられる。一般に、制止症状に進行する以前ないし回復期に不安・焦燥感が強まる時期があり、うつ病自体に基づく自殺企図もこの時期に多い。自殺念慮は罪責感から発展することもあるが、自己愛の傷つきに端を発することも多い。つまり、うつ病により作業能力が低下し、二次的に仕事面や対人面で破綻をきたし、自殺を図ることがある。
 うつ病の急性期における治療には、心理的休息が重要である。抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などによる薬物療法については、近年、薬の種類も増加し、SSRI(セロトニン選択的再取り込み阻害薬)など副作用の少ないものも出てきている。急性期からの回復には、一般的に3〜6ヶ月はかかる。回復期には、休息や薬物療法だけでなく、環境調整や社会復帰のためスケジュールを考える。慢性化した場合でも、根気よく治療を続けていくことで、数年後に回復することも少なくない。うつ病は「必ず治る病気」であることを忘れてはいけない。難治性の場合には、増強療法として、炭酸リチウムや甲状腺ホルモン、抗精神病薬、抗てんかん薬などを併用する。また、修正型電気けいれん療法を用いることもある。


・MRI(えむあーるあい)
 Magnetic Resonance Imaging(核磁気共鳴画像)の頭文字をとってMRIという。大型の超電導コイルによる静磁場の中に入り、ある特定の電磁波を加えることで、磁気共鳴が起きてプロトンのエネルギーが吸収され、その信号をコンピュータ処理をすることで特定の断層写真が撮影できる装置である。精神科では脳の検査に使用される。CTと比べて、X線被曝の危険性がなく、脳の構造体を詳細に撮影できる。認知症の検査としてはもちろん、精神科疾患全般で、脳梗塞や脳腫瘍などの脳の器質的な異常との鑑別に用いる。撮影するには、耳栓をして狭い筒のようなところに入り、30分程度横になって動かずに静かにしている必要がある。下に示すのがMRIによる脳画像の例。



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・広汎性発達障害(こうはんせいはったつしょうがい)
 広汎性発達障害(Parvasive Developmental Disorder; PDD)とは、古典的な自閉症、レット障害(Rett's Disorder)、小児崩壊性障害、アスペルガー障害を含む概念であり、いずれも自閉症の3主徴(社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害・こだわり)に関する障害である。近年、高機能自閉症や、アスペルガー障害など、知的障害を伴わない(IQ>70)広汎性発達障害(あるいは自閉症スペクトラム)が注目されている。古典的な自閉症よりも障害の重症度は低いが、対人関係の問題があり、社会参加の面から考えると同様の困難さがあるため、自閉症に準じた療育をしていく必要がある。診断が遅れて、不適切な教育・指導を行うと、パニックや不安を生じ、さらに自傷行為や攻撃的行動を生じることもある。言葉の遅れのないアスペルガー障害は、三歳児健診でも見逃されてしまうことも多く、注意が必要である。平成14年の文部科学省の調査では、通常学級の0.8%に認められた。
 精神科を受診するきっかけは、不登校やパニック・攻撃的行動が主である。問題行動の基礎になる障害に気付かず、特に聴覚などの感覚過敏、情報処理過程の違いから誤解されたり、混乱したりすることが多い。そのため、構造化や視覚支援などTEACCHなどの手法に準じた支援をする。具体的には、クールダウンするための個室を準備したり、仕切りを作って過剰な刺激を受けないようにしたり、作業の手順を明示的に示したりする。下に示すのはTEACCHの実践に向けて、攻撃性の問題について示したもので、表面に現れた症状は氷山の一角に過ぎない。水面下にそれを引き起こす問題が隠れており、それらに焦点を当てて対応する必要があることを示している。




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CT(しーてぃー)
 Computed Tomography(コンピュータ断層撮影法)の頭文字をとってCTという。X線をさまざまな方向から照射して、その信号をコンピュータで再構成して、断層写真を得る。MRIと比べて、撮影時間が短く、装置も小規模ですむ。

・神経症(しんけいしょう)
 ドイツ語のNeurose(ノイローゼ)の訳語。一般的に「ノイローゼ」というと悩み苦しんでいることを意味しているが、精神科における神経症とは、心理的・機能的に混乱をきたし、社会生活を送るのに支障のある疾患をいう。強迫神経症や不安神経症などがそうである。認知症など明らかに脳の損傷がある疾患や、統合失調症などの心理的要因だけでは説明できないような脳の機能的異常をきたす精神病とは異なる。DSMなどの近年の診断基準では、病因論を排除しているので、神経症という診断名は採用されていないが、力動的に心理をとらえる考え方は現在でも診断や精神療法に有用である。

精神病(せいしんびょう)
 統合失調症や躁うつ病など、心理的要因だけでは説明のできないような(内因性の)脳の機能異常をきたす疾患。


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統合失調症(とうごうしっちょうしょう)
 クレペリンが破瓜病、緊張病などをまとめて早発性痴呆という疾患単位を記述し、その後、E. ブロイラーが精神諸機能の分裂が特徴であると提唱し、精神分裂病 Schizophrenie[独]と呼ばれるようになっていった。その「分裂」という言葉の響きは、この病気にスティグマを付し偏見を助長していることや統合失調症全体の軽症化も進んできていることから、2002年、日本ではSchizophrenieの訳語が統合失調症に変更された。
 症状は、妄想や幻覚(主に幻聴)を主体とする陽性症状と、思考障害や感情鈍麻、自発性の低下といった陰性症状に大別される。その症状と経過により、解体型、妄想型、緊張型の3つの病型に大別されているが、その他、単純型などの病型も考えられている。人口のおよそ1%に認められる疾患で、遺伝的要因だけでなく、環境要因も関係している。
 脳の神経伝達物質の一つであるドパミンの調節が崩れていると考えられており、治療としては、ドパミン受容体を遮断する抗精神病薬が用いられる。近年では、陽性症状だけでなく、陰性症状にも効果のある新しいタイプの抗精神病薬も出てきており、その効果に期待されている。


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認知症(にんちしょう)
 後天的に知能が低下した状態をいう。痴呆という言葉が差別的ということから、2004年12月から「認知症」に名称変更された。アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、びまん性レビー小体型認知症、ピック病などがある。


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ピック病(ぴっくびょう)



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