(更新年月日:20109月)

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山形大学医学部 分子病態学講座

 

 【 メニュー 】

1 担当スタッフ

2 はじめに

3 研究指導方針

4 現在の研究活動

5 所在地

6 関連研究会

山形県血栓の病態と治療研究会(山形県血小板と血管研究会)

山形分子生物学セミナー

*山形止血・血栓セミナー

東北止血・血栓研究会

*Lp(a)カンファレンス

トランスグルタミナーゼ研究会

血液の分子病態研究会

日本血栓止血学会

*国際血栓止血学会 科学標準化委員会 XIII因子分科会

*XIII因子シンポジウム(GTH)

後天性第XIII(13)因子欠乏症研究会

7 厚労科研「後天性血友病XIII(13)」の全国調査活動について

8 不育症(習慣性流産)の研究について

9 眼科疾患のプラスミン療法について

10 東北血友病インヒビターワーキンググループ(東北HIWG)調査活動

11 その他

  *大学院生の国際学会発表  *2学年 学生実習の手引

2学年病理病態学分担範囲   大学院生募集中!

Debrecen大学*名誉博士号授与式

図説・血栓止血血管学出版


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Cloners and Clotters

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1 担当スタッフ

  教  授   一瀬 白帝  (医学博士、理学博士、名誉医学博士)

  助 教 授   未 定

  講  師   惣宇利 正善  (医学博士、理学修士)

  助  教   岩田 宏紀  (理学博士)

 技術専門職員  渋江 由里子

 

2 はじめに

 これは、坪井元学長の御努力で昭和624月に全国に先駆けて本大学に設置された、新しいユニークな講座である。現在5つの国立大学に同名の講座が存在する。また、この10数年の間に臨床講座、研究センターに「分子病態」の名を冠した施設が激増した。講座の目的は、診断と治療に貢献することを念頭に置き、疾病を遺伝子と蛋白質の分子のレベルで解明することであり、過去そして現在世界の各地で得られつつある膨大な研究の成果を要約して学生に伝えることである。

 私は過去30年間、主に血液凝固と線溶の分野で、蛋白質同士の架橋結合反応、線溶開始因子の分子自体の構造の変化などの研究や、数種の蛋白質のアミノ酸配列、その遺伝子の塩基配列の決定、先天性プラスミノゲン分子異常症や第XIII因子欠損症の遺伝子解析及び遺伝子診断などを行なってきた。今後も動脈硬化、血栓症や出血性素因の遺伝子・蛋白質分子のレベルでの解析を教室の主なテーマに据えて、他の臨床、基礎の教室からの問題提起を受けて、新たな課題についても共同研究しつつある。

 926月に赴任して以来、「ヒト・モノ・カネ」の研究環境の整備に取り組んできたが、幸い学長、学部長、先輩教授の皆様のご支援と各種の研究助成を受けることができ、また通算14名の大学院生一覧表)が研究に参加してくれている。米国での研究の蓄えが尽きた94年は遂に原著論文が途切れ、私の研究生活の中で最悪の年であったが、翌年から山大医学部での固有の論文を出し始めることが出来た。954月には、我が国で初めての教科書、「図説・分子病態学」も上梓した(98年には第2版03年には第3版が完成)。その後新しいスタッフや大学院生も次々と成果を挙げ、雪の下から芽を出した小さな「分子病態学の木」に大きな花が咲く季節が来た。まず、当講座にとっての大学院一期生、堤君の学位論文が血栓止血分野では最高の国際専門学術誌であるThrombosis & Haemostasisに、二期生の鈴木君の学位論文は医学研究の最高峰の一つJournal of Clinical Investigation に、藤巻君のものはBiochemistryに掲載された。 これらの論文は、分子病態学における院生の研究の質の高さを如実に示す例であり、心から彼等の健闘を賛えたい。また、三期生の木田君が筆頭著者の3つの原著論文が FEBS LettersBiochem Biophys Res CommunThrombosis & Haemostasisに掲載された。前2者は短報ではあるが、現役の大学院生が論文を出すのは講座として初めての快挙であり、以後定着しつつある。同じく三期生の高橋君の学位論文が、血液学では最高の国際学術誌であるBloodに掲載された。この権威ある雑誌に掲載された論文としては、山形大学で4番目である。98年は、学部学生の東君が休み中に実験の一部を手伝った論文がThrombosis & Haemostasisに掲載された。19993月には、木田君の学位論文が生化学では最高の国際学術誌であるJ. Biol. Chem.に掲載された。また、98年度の学部3年生が研究室研修で同定した遺伝子変異の解析もその後教室員によって完成され、2001年にBrit. J. Haematol.に掲載されたことが特筆される。

 2003年からは、菅原君が東北大学大学院から国内留学に来て、2004年からは中国から留学してきた張さんが仲間に加わって日夜奮闘中である。

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3 研究指導方針

 本講座では、将来、臨床、基礎の分野を問わず、自立した意欲に溢れた研究者になるような人材を育てたい。従って、最初は基礎演習コースとして小さな課題を与えて、基本的な分子生物学、遺伝子工学の技術・手法を直接指示の下で修得させるが、徐々に、自分の頭で考え、創意工夫を加味して問題を解決していくような研究態度を身に付けるよう指導する。また、専門分野のみならず広く最新の知見を得る為に、大学院生には分子病態学の学部講義を聴講したり、分子医学の抄読会に参加したりすることを義務付けている。

 学位論文の研究テーマは、所属講座の指導者の意向も考慮しつつ、本人と指導教官とで協議して決める。研究の世界では、今日最高レベルの雑誌に発表された論文が「世界記録」であり、これを越える内容を持った論文でなければ「世界記録の更新」はできないことを肝に銘じて大学院に来ること。世界の先端レベルの論文をAクラスの国際学術雑誌に発表することを目標として(業績欄を参照、ただしBクラスも混在)、昼夜兼行で最大限に努力して貰う。投稿論文は共同の業績であるから著者全員で作成するが、学位審査の論文は院生本人が完成するように指導する。研究には集中力が最も重要であり、問題解決の為に全知全能を傾けて欲しい。高度な研究を成就させるには、他の研究者との討論や各種文献に目を通すことも不可欠であり、国際標準語に近い英語で読み書きが(書きは難しいが)できるようになって貰いたい。敢て誤解を恐れずに言えば、税金や財団、他人の金を使って“仕事を楽しむ”ようになることが、成功の秘訣である。一定の意欲と能力を持った人間が懸命に研鑽を積めば、山形の地から世界に羽ばたき自己実現できることを証明することが目標の一つである。

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4 現在の研究活動

1)他の研究者との共同研究

 上述したように、この講座では疾病の原因を遺伝子と蛋白質の分子のレベルで解明する。従って、他の研究者がユニークな症例、疾患モデルの動物や培養細胞、あるいは実験系を有し、遺伝子工学的なアプローチを行なう場合は、積極的に協力し、必要に応じて共同で研究する。米国でも山形に来てからも国内外の多くの同じ分野の研究者や臨床医と協力し合って仕事を続けている(業績欄を参照)。学内でも、免疫・寄生虫学講座の「白血球のアポトーシス」の研究に協力したり、眼科学講座と「網膜血管血栓症と凝固・線溶系因子」について、法医学講座とは「凝固第XIII因子Bサブユニットのフェノタイプとジェノタイプ」についての共同研究を行なったりして、具体的な成果を挙げている。また、病理学第一講座には、後述するXIII因子ABサブユニットのノックアウトマウスの病理組織学的解析に多大な支援を頂いている。

2)動脈硬化と血栓症、癌に関する研究

 リポプロテイン(aに含まれる高分子、アポリポプロテイン(a)は心筋梗塞、脳梗塞の発生に関与している点で、臨床的に極めて重要である。その血中濃度とその分子量は遺伝するので、私が発見した5'-flanking regionの遺伝的多形性やアイソタイプを多くの症例で測定し、血中濃度や血栓症発生との相関を調べている。最近、4つの5'-flanking regionのタイプの割合が米国人と日本人、健常人と心筋梗塞症例では異なること、それらのタイプの転写効率が異なることを証明した。現在、更に5'上流にあるVariable Number of Tandem Repeat の転写に与える影響を調べたり、サイトカインや各種の薬剤の転写活性に対する影響を検討している。

 また、プラスミノゲン・アポリポプロテイン(a)遺伝子ファミリーは、相同遺伝子が多く、各種の正常及び癌細胞での発現が異なるので、これを系統的に調べ、生理的、病理的意義を探究しつつある。

3)プラスミノゲン/プラスミンに関する研究

 この蛋白質の分子異常症は世界の中で日本人に最も多いので、数年前、これを解明するために遺伝子の塩基配列を決定した。次に、数種類の遺伝子異常を同定し、新しく開発したARMS-RACE法を遺伝子診断に応用している。また、遺伝子変異の分子病態学的意義を解明すべく、異常蛋白質の発現実験も行なっている。

 最近、順天堂大学浦安病院の田中教授との共同研究で、眼科領域の硝子体剥離術にプラスミンを応用することに国内で初めて成功し、注目を浴びた(プラスミン療法)。その後、自己血からプラスミノゲンを抽出するキットを開発し、臨床応用と普及に向けて尽力中である。

4)凝固第XIII因子に関する研究

 10数年前に第XIII因子のクローニングを世界に先駆けて行なったので、現在でもそのA, B両サブユニットの欠損症の分子病態の解明を行なっている。その遺伝子上の変異が、どのような機序で蛋白質の欠損に結びつくのか、リコンビナント蛋白質を発現させた細胞の内外で解析している。例えば、世界で第一例目のBサブユニット完全欠損症症例で、7番目の“寿司ドメイン”のCys残基の置換が細胞からの放出を阻害して異常蛋白質を小胞体に貯溜させることを突き止め、その詳細な機序を解明した。また、従来の1型第XIII因子欠損症はBサブユニット完全欠損症であることを証明して、遺伝子異常に基づく新しい病型分類を定めた。最近、Aサブユニット欠損症で発見した幾つかのアミノ酸配列の異常が、蛋白質生合成のレベルの欠陥を惹起していることを明かにした。これらの研究を通して、長年の疑問であった、分泌のためのシグナルペプチドを欠くAサブユニットの流血中への放出機序を解明しつつある。将来、少なくとも20種類は知られている特殊な細胞外蛋白質の全く新しい放出機構を発見して、生命科学に多大な貢献をすることを夢見ている。また、個体におけるこれらの因子の役割を詳細に検討するために、現在XIII因子ABサブユニットのノックアウトマウスを作製し、機能的解析を実施中である。XIIIAサブユニットノックアウトマウスでは、雌妊娠マウスの観察によりヒトの女性欠損症患者で見られる自然流産の原因が胎盤出血であることを突き止めた。 また、雄XIII因子ノックアウトマウスでも興味深い事実が明らかになり、新しい病態の解明に繋がるものと期待される。

5)プロテインZに関する研究

 これは、最後に残された機能不明のビタミンK依存性血漿蛋白質である。90年代前半にほぼ全長のcDNAをクローニングして遺伝子を解析したが、完全でなかったので、その後残った部分を確定して発表した。最近、世界で最初と2番目のプロテインZ欠損症の検体をドイツから得て遺伝子異常と多型を同定し、その欠陥の分子機序を解明した。学部3学年の研究室研修や6学年の選択実習の一部のテーマとしても取り上げており、ワ−ファリン代謝との関連も追究中で、臨床への還元という側面からも更に新たな展開が見られる。

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