高次脳機能研究の歴史

 

 “こころ”の現象は脳によってつくりだされます。しかし、近年まで心理・認知機能は現象面を中心に研究され、その神経基盤はブラックボックスとされてきました。唯一の手掛かりは脳が壊れたとき、認知機能にどのような変化がおこるかを観察することでした。

 

 最近、神経機能画像法、神経生理学的研究法などの目覚ましい発展により、脳の機能を様々なアプローチでとらえることが可能になってきました。たとえば、言葉を想起しているときの脳血流神経活動の変化をリアルタイムでとらえることができます。脳を電気的に刺激したらどのような反応が得られるかを観察することもできます。機能的に結びつきの強い脳部位を描出することも可能です。また、脳のどの部分に構造的な異常があるのかもミリ単位で解析することができ、患者さんの臨床症状との正確な対応を検討できます。このような方法を利用することにより、高次脳機能の神経基盤が徐々に明らかになりつつあります。